どんぐり山(春)

田んぼの中に「どんぐり山」と私たちが呼んでいた山がある。山と云うよりは周囲50m位の、高さ10m位の丘であった。 ちょうど、どんぐりの実の帽子を取ってそれをかぶせたような形である。山には「しの竹」が密生していて、杉の木と…

遠い夏の日の想い出(2)(夏)

久しぶりの青空!庭の片隅の木陰に椅子を持ち出し、冷たいビ-ルを飲む。久しぶりの暑さと疲れから酔いが回る。 麦わら帽子を顔に掛け、すこし微睡む。蝉の忙しげな鳴き音が微睡みの中で、三十数年前のお寺の裏山で鳴く蝉と 交錯し、あ…

竹の子(春)

昭和30年頃」、ちょうど、「となりのトトロ」の舞台となった年代である。いつもみるたびに、私の脳裏に焼き付いている風景が小間切れフイルム のように甦ってくる。 少し大きめのよれよれのランニングシャツ、だぶだぶの半ズボン、お…

山歩き(春)

3月のはじめ、私のお気に入りの山に入った。「おにぎり」二つと、熱いお茶の入った「サーモス」、そして少しばかりの「酒」をデイパックに突っ込む。山といっても高い丘のような所で、全体が雑木で覆われている。 私は、簡単な足拵えを…