八月の風(夏)

ぎらぎらと照りつける真夏の太陽が、乾ききった白い砂利道に私の黒い影を映しだしている。土埃をもうもうとあげながらその砂利道を一台の車が通り過ぎて行く。私は咄嗟に脇の雑木林に入った。 一瞬、暗闇の中に入ったように目の前が真っ…

ベンチ(夏)

百日紅の真っ赤な色彩から甘い魅惑的な馨しさに誘われて、蜜蜂が羽音を発しながら花に纏わりついている。 その甘い香りに誘われて、私も百日紅の花に顔を近づけてみた。甘い香りは真夏のギラギラした日差しの暑さを一瞬忘れさせてくれる…