ひまわり(夏)

野原一面を黄色く染めるヒマワリ。夏の強い日差しを浴び、鮮やかな黄色い輪郭が浮かび上がっている。どれもがギラギラと照りつける夏の太陽に顔を向けている。丁度、熱弁を揮って語りかけている指導者に耳を傾ける群衆のようだ。 二十歳…

雫(しずく) (夏)

今日は、今までの厳しい暑さが嘘のような天気。朝から重い雲が垂れ込め、今にも雨が降りそう。以前、スマフォに保存しておいたお気に入りの音楽を聴いてみる。Bluetooth対応のイヤホーンからは、私の好きなショパンの雨だれが流…

麦わら帽子(夏)

何時もの、散歩コースにあるマロニエ並木にあるベンチ。 ハンケチで額の汗をぬぐいながら、ちょっと微睡(まどろむ)。 何故か、懐かしい想い出が脳裏をかすめる。 七月の風 夏の強い日差しを遮るように、マロニエの大きな葉がベンチ…

八月の風(夏)

ぎらぎらと照りつける真夏の太陽が、乾ききった白い砂利道に私の黒い影を映しだしている。土埃をもうもうとあげながらその砂利道を一台の車が通り過ぎて行く。私は咄嗟に脇の雑木林に入った。 一瞬、暗闇の中に入ったように目の前が真っ…

ベンチ(夏)

百日紅の真っ赤な色彩から甘い魅惑的な馨しさに誘われて、蜜蜂が羽音を発しながら花に纏わりついている。 その甘い香りに誘われて、私も百日紅の花に顔を近づけてみた。甘い香りは真夏のギラギラした日差しの暑さを一瞬忘れさせてくれる…

村社の想い出(夏)

先日、久々に生まれ故郷に行ってみた。故郷を離れて半世紀、光陰矢のごとし、月日が経つのは早いものだ。年に数回は、親類のお宅へお邪魔してしているが、現在の故郷の様子などを聞くのが楽しみである。 今回は、集落の西外れの山に鎮座…

遠い夏の日の想い出(2)(夏)

久しぶりの青空!庭の片隅の木陰に椅子を持ち出し、冷たいビ-ルを飲む。久しぶりの暑さと疲れから酔いが回る。 麦わら帽子を顔に掛け、すこし微睡む。蝉の忙しげな鳴き音が微睡みの中で、三十数年前のお寺の裏山で鳴く蝉と 交錯し、あ…

床屋(夏)

暑っ~い。連日、35度を越すような猛暑。午前中に用事を済ませ、昼飯を食べ終えると窓を全開にした部屋でゴロリと横になる。籐の枕を置き、窓側に置いた扇風機を60分にセットする。暑い中でも心地好い風が眠気を誘う。 「おとうさん…

西洋式毛鉤釣(夏)

「ピュッ、ピュッ、ピュッ」湖に腰まで浸かりながら数人の若い釣グループがお揃いのベージュのハット。背中に英文字で書かれたお揃いのベージュのベストを着て懸命にロッドを振り弧を描きながらオレンジ色のラインを飛ばしている。オレン…

現像てんまつ記 その一(夏)

「な、なに、これっ!」妻の甲高い声が台所から聞こえてくる。隣の部屋にいる私はその一声で一瞬焦った。「ドア開けんなよ!」私はすかさず言ってしまった。私は自分の部屋のドアを閉め雨戸も締め切って部屋の中を真っ暗にし、撮り終わっ…