イナゴ採り(秋)
「母ちゃん、明日学校でイナゴとりやんだから、袋、縫っといとこれね。」そう言いながらカバンを背負って急いで朝の集合場所へ駆けて行く。お寺の入り口の白門、何人か来ていた。「やっちゃんも明日いなごとりだんべぇ。」「袋縫ってもら…
「母ちゃん、明日学校でイナゴとりやんだから、袋、縫っといとこれね。」そう言いながらカバンを背負って急いで朝の集合場所へ駆けて行く。お寺の入り口の白門、何人か来ていた。「やっちゃんも明日いなごとりだんべぇ。」「袋縫ってもら…
暑い日の休日、数年ぶりに路線バスに乗った。車内はがらがら数人乗客がいるだけで、空いている横掛けの椅子に座った。外の暑さをよそに、バスの中は冷房が効いていて、夏の暑さの疲れとバスのエンジン音もてつだってか、椅子に寄りかかる…
いつも通る町の中に昔と変わらぬ風情の小さな駄菓子屋がある。五十づらを下げた「おっちゃん」が中に入るには幾らかの躊躇があった。しかし、通るたびに何時か覗いてみようと思っていたので思い切って入ってみた。 薄暗い店の中には、昔…
「トン・トン・トン・トン」台所から軽快な歯切れの良い音が聞こえて来る。春の七草、”セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ”早春の青菜を切り刻む音だ。1月7日、新世紀を迎えて最…
雑木林/エッセイを開設しました。雑木林には春夏秋冬の幼い頃の懐かしい想い出を綴っています。今までに公開したエッセイの中からお気に入りのエッセイを改めて公開したいと思います。