昭和十二年十二月二十三日付手紙



私は毎日、神様に何事も無いようお祈り申し上げています。

それに小包が戦地に着いたとの事、私も安心しました。それに小林からも時々来てくれます。

二三日前にも来ました。来る度に何か持ってきてくれます。それに阿久津様からは何の便りも

有りません。

利一さんから兄様宛にお便りが有りました。久しく貴方様に会わないとのことです。元気で働

いて居るようですからご安心下さい。

内地にても、正月騒ぎで大変です。子供たちも喜んで居ります。今夜は、二十三夜で表は賑や

かです。では又後で出します。お元気で。






昭和十二年十二月二十九日付手紙



御寒う御座います。

お父さんも何の変わりなく元気にお働きの事、陰ながら喜んで居ります。

御寒い故、御体を大切にして下さい。

当方にても、皆変わりなく暮らして居ますので御安心下さい。子供たちも元気で、お父さんの

お帰りをお待ちして居ります。御正月も、後三日にと云う忙しい年の暮れと成りました。

表は、松飾りを立てたりして賑やかです。商人も忙しく飛び歩いて居ります。

私も暮れなので、針仕事が忙しくて大繁盛です。それでも今年は、いくら働きたくても今二日

位ですからね。お正月になれば子供たちと一緒に遊んでやりましょう。

戦地にてもお正月の準備で新聞などで大変ですね。其れでも占領、占領で皇軍の大勝利にてお

正月を迎えるのですから何よりですね。

内地にても皇軍の慰問、慰問で正月もあっさり居ります。今年は年賀状は出さないで、其のお

金で慰問にするようです。出征兵の家などには、お歳暮として町会から醤油一升と砂糖を頂き

ました。其れと町会から戦地へ一人宛に慰問を差し出したようです。

お父様の所へも届きます。皆様の所からだいぶ礼状が来るようです。町の人も毎日毎朝夕神様

に皇軍の武運長久をお祈りして下さいます。実に熱心なものです。其れですから町内でも大し

た戦死者もなく幸いです。

車の父母上様も心配して居ります。子供も早く父さんのお帰りする日を、神様にお祈りして待

って居ります。**は歩くように成りました。ずいぶん大きく成りました。

当方は変わり御座いませんから御体大切にして下さい。私も出来るだけ子供を大切にします。

其れに、富善から仕切り書を受け取りました。田舎の方は父が面倒見てくれてます。

葉書一月十五日受け取る。





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