昭和十三年一月十日付手紙



御写真在中の十二月三十日差出しお便りと一緒に前の為替金二十五円也一月十日に

受け取りました。子供達も大変喜んで居ます。戦線より御送金なされた御金は有難

くて、何とお礼を申し上げ様も御座居ません。只一人でに涙が出てきて仕方御座い

ません。有難きお父様のお姿が目の前に浮かび出されます。

家になど御送金なされずとも戦地にて父様のお好きな物でも御買いなさって下さい

私の方は決して心配は御座居ませんからね。其れに又四、五日前に金二十五円也送

金の御手紙を頂きました有り難うございます。戦地からの御金など有り難くて使用

出来ません。其れに先月の御便りは勲章番号が着いたとの事、こちらにても安心致

しました。随分気をもみました。

五日朝、車の父が来ました。其の日に付かなければ戦地にて大変困って居たろう早

なんとかして知らせたいと色々宇都宮隊に行き頼むつもりで居た所へ着いた便りで

安心しました。早速上町へも行きご馳走になってしまい皆喜んで下さいました。

一月七日宇都宮の御父様が来ました。

子供達も皆元気です。明日は十一日の初市です。早く行って見せてきます。又写真

は良く撮れていますね。こうして御元気にて居られる事を私も陰ながら喜んで居ま

す。大分「ヒゲ」が長くなりましたね。暖かそうな服装で私も安心しました。

では寒さの折り御体大切に。子供達三人も良く休んで居ります。只今十一時を打ち

ました。





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