昭和十三年一月二十一日付手紙一月三十一日旧正月一日受取



御葉書有難う御座います。ご無沙汰して申し訳御座いません。

文面によればお父様も変わり無く御元気で磁県城にて日々お過ごしの

由、私も喜んで居ります。

父様のそうした御元気な御便りが只今の私には唯一の楽しみです。

寒さの折から御体を大切にして下さい。病気にならぬ様御注意下さい

当方にても、親子共に父様がお国の為に良い御手柄の出来るよう日夜

神様に御祈り申し上げて居ります。

内地にても今年は随分寒いです。戦地の寒さを想像致します。八年ぶ

りの記録と言って居ります。いくら寒くとも皇軍のことを思えば、内

地の寒さは何とも思いません。父様も重ねて御体を大切にして下さい。

こちらは、子供始め私も風邪一つひかず毎日元気で良く暮らして居り

ます。車の両親も五島の兄も寅兄も一同元気です。田舎の方も変わり

なく時々来てくれます。旧正月には母が来るようです。

戦地より頂いたお金で、子供に十一日の初市に好きな物を買って喜ば

せてあげました。御安心下さい。

後は送金せずに戦地にて使用して下さい。皆、心配はありません。

尚、餅屋さんも元気でいるとの事、日野屋の新さんも元気で居ります

と家に便りが有りました。おでんちゃんも一人で元気で商売して居り

ます。今も久子さんが遊びに来て、ミチエが送って行きました。

毎日3人で仲良く遊んでいます。カネヒデは3人のママゴト遊びを何

時もいたずらをしていやがられています。カネヒデは見違えるほど大

きく成りました、一人で威張って居ります。


(以上にて記載終わります。)





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