”其の九”



昭和十三年

五月十六日晴れ
曹*城を午後二時五十分出発し、途中恙なく八時に着く。十時三十分宿営す。


五月十七日晴れ風
本日一日中戦時行軍しつつ、午後七時無名部落に露営す。


五月十八日晴れ雨
午前十時より戦斗が始まり、今までの敵は第八路軍と言い、支那軍で一番強い
兵隊です。
午後三時に村落を占領し、友軍死者三十名、負傷者四十名出す。担送しつつ無
名部落に午前十二時に着き露営す。


五月十九日晴れ
午前三時起床。夜行軍*しつつ内黄城の攻撃に参加す。
歩兵五十聯隊はなかなか苦戦にて、路海線の鉄道を午前十一時占領す。敵は死
傷者無数、友軍は死者四十名、負傷者百三十名出す。村落に宿営す。


五月十九日晴れ
午前七時三十分、空中戦を見物しつつ敵機三機を撃墜す。
激戦は毎日続く、今までの戦斗は徐州戦の為に行い、敵は四十万も居る、我々
は其の為の捨て石と成り、毎日激戦が続く。






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