写真について(四)

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その当時使っていた150万画素のデジカメの描写にはWeb上では何の不満もなかった。
とちぎ花博の会場で朝撮ってきた画像をPCのレ・タッチソフト、AdobePhotoshop5.0で画像を処理、そしてすぐさまWebにUP、デジカメの速効性、これはまさに写真に於ける一大革命ではないだろうか。

しかしデジカメ市場に於けるメーカー間の熾烈な競争、これによってデジカメの性能はますます向上し、今や画素数は800万画素以上、また取り扱いも至極簡単になり全てがオートマチック。ただ被写体にカメラを向ければ誰でもが美しい写真を間違いなく撮れる、ウン十万円もする高級な一眼デジタルカメラも今や一昔前の”バカチョンカメラ”と同列になってしまったのではないだろうか。(これはあくまでも私の独断的偏見なる解釈ですので)。

写真関係のWebサイトは今や星の数ほど(私も含めて)あるがどのサイトをみても有名な写真家が撮ったのではないかと思えるような素晴らしく美しい綺麗な作品が目白押しである。
そう言う私も例に漏れず、その後新しく手に入れたコンパクトデジカメで綺麗な写真を追い求め、気に入った作品を見ては悦に入る毎日であった。

そんなある日、写真家のサイトをネットサーフィンしていてある写真家のWebサイトに出会った。そのサイトは全てが銀塩モノクロームで構成され掲載された作品のモノトーンの素晴らしさ美しさに魅了されてしまった。
そうだ、これだ!。カラーだけが写真ではない。

昔のように写真の原点に戻ってモノクロームの素晴らしさを再現してみよう。そして拘る以上は銀塩モノクロフイルム、デジカメで撮りレ・タッチソフトでグレースケールに変換する手法もあるが拘る以上は原点からやってみよう。
一眼レフカメラは以前に買ったミノルタα303siと埃を被ったペンタックスSPFがあった。別に銀塩を始めるからといって新しいカメラを買う必要もない、機械が正常に動くのとレンズにカビなどがなければそれで十分である。しかしSPFの平均測光機能は完全に壊れていた。でも露出は303siで十分代用できた。

休みの日、撮影に行くときはこの二台のカメラにモノクロフイルムを詰め、モノクロに合う被写体を求めて徘徊していた。
日光、足尾、渡良瀬遊水地、そしていまだに拘っている上南摩へとのめり込んでいった。
最初、フイルムはラボへ出していた。しかしモノクロフイルムは需要が少ない為か仕上がりが遅く10日ほど掛かってしまう。露出具合(写真の出来具合)を確認するためにも10日という時間は余りにも長すぎた。

こうなったら自家現像しか方法はない。しかし昔やってはいたがすでに30年も前の事である。処理が出来るかどうかそれが不安であった。
早速、フイルム現像に必要な機材・薬品などを買い揃え、資料を見ながら昔の感覚を想い出し次第にフイルム現像の魅力にとりつかれていった。
(この様子は”フイルム現像顛末記に綴ってあります。)
現像てんまつ記 その一(夏)
現像てんまつ記 その二(秋)

モノクロ写真を撮るようになってから月10本程消費するようになった。
週末にカメラを持って出かけるとだいたい2~3本は撮ってしまう。
使用するフイルムはプレスト400かトライXが殆どで、予備にアクロスを数本持ってゆく。
午前中撮影し、そして午後には撮り終えたフイルムを現像処理、夜までにはスキャナーで読み取ってフォトショップで画像処理して即UPしてきた。

数年前からWebデザインもある程度考えるようになり、フラッシュで編集して載せるようになった。
フラッシュを多用する目的は、デザイン的な面があるがそれと共にUP画像をコピーされる事が出来ない為でもある。
人によってはフラッシュを用いて写真を見せる事を邪道だと嫌う方もいるようだが、Webデザインが進歩している今、その様な考え方自体、頭が古いのではないかと思ってしまう。

さて現像であるが、最初の頃は浅沼商会のプラステック製ベルト付きのタンクに巻き込んでいた。
付属のベルトには両側にダボがあり、巻き込んだフイルムとクリアランスができる様に工夫され、初心者にも簡単に巻き込む事が出来る。
(私も昭和50年頃に現像を始めた頃は、これを使って覚えたものである。)
最初、巻き込みには暗室もダークバックも無かったので暗い押入れに入り、どてらを被って汗だくになりながら巻いていた。

現像液はいつも手に入りやすいフジフィルムのミクロファイン。
現像時間が長いため現像ムラが出にくいのとシャープに仕上がると言う事で1:1の希釈を採用した。
現像時間、液温、攪拌はメーカーの指定を忠実に守って処理。
処理液はそのつど水で更に薄めて廃棄。
液温は大きな器に水を張り、夏場は氷、冬場はお湯で20℃に保ち、その中へタンクを浸して処理液の温度を20℃に保った。
(5月と10月頃は水道水が20℃位なのでストレス無く温度管理が出来る。)

その後、現像液はコダックのD-76に何故か拘りを持ち、今でも私の標準現像液としてD-76、1:1希釈で処理している。
(フイルムがコダックの場合、ミクロファインでは現像処理時間の正確なデータがないためでもある。以前、フジフイルムに問い合わせた事があるが、処理時間は分からないとのにべの無い返事が返ってきたことがあった。)
停止は文献などでは氷酢酸の希釈を薦めているが、水道水を用いても現像ムラなどの変化が無いので今は殆んど水道水で処理している。

(どうしても鼻にツンとくるあの酢酸の臭いが嫌いな為でもある。)
で、だいたい30秒位の攪拌処理。
定着はフジフィックスで10分。
水洗いはフジの水洗い促進液をタンクに注入し、30秒ほど攪拌して水道水の流水で10分程の処理。
これが私の標準的なフイルムの現像処理である。
もともと科学分野には疎い方なのでフイルム現像に関する専門的な化学薬品の知識はない。ただフイルムのコマ数を多く撮って試行錯誤、まさに習うより慣れろである。
(その後、35mmタンクは、LPLのステンレスタンクに替えた。)

(風のつぶやき 写真についてより抜粋)

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