盛夏 南摩ダムにて 2025.08

栃木県鹿沼市南摩地区で建設中の南摩ダムを数カ月ぶりに訪れてみました。
南摩ダムは、コンクリート表面遮水型ロックフィルダム(CFRD)型式のダムです。
ダムの規模は、堤高86.5メートル、堤頂長359メートル、総貯水容量5100万立方メートルです。
ダム本体はほぼ完成し、現在、試験湛水が行われています。
思川開発事業 資料
思川開発建設所オフィシャルサイト
渡良瀬川ダム総合管理所
南摩(なんま)ダムができるまで YouTube

杓子沢トンネルを抜けると左側にダム管理棟があります。
現在、その脇に駐車場と展望台があります。
下は、展望台から見た南摩ダム洪水吐の様子。

上と下の写真は、南摩ダム上流側に設置された取水塔です。
取水塔は、ダムに貯めた水を取り入れて下流河川へ放流するための施設です。
選択取水とは、下流の環境や目的に応じた水温や濁度の水を選択して取水することです。
思川だより

下は、展望台に設置された南摩ダムの案内システム。
右側は、杓子沢トンネルと三ツ石橋。

室瀬地区から見た南摩ダム。
ダム直下の室瀬地区からはダム提体からの洪水吐を見ることが出来ます。
下の建物は、南摩ダム揚水機場です。
※ 揚水機場は南摩ダム下流に位置し、鉄筋コンクリート造2階建て、延べ面積 1,388 ㎡と南摩ダム管理棟に並ぶ大規模建物です。
思川開発事業は、南摩ダムと大芦川・黒川を導水路で結ぶことで水融通を行い、洪水調節や水道用水の供給を目的とした事業です。
揚水機場は、南摩ダムから流下した水をポンプの力で大芦川・黒川へと押し戻す(送水)機能をう建物です。

ダムの洪水吐から流れ出た水は、揚水機場から南摩川に排出されます。

2023年5月に下流側から撮影した洪水吐の工事の様子です。

南摩ダム2023年9月アーカイブ

手記 南摩にて(その一)

2004年より変わりゆく上南摩をカメラを通して私なりの観点から綴ってみました。
エッセイと写真を全編65編で構成しました。

Snow Peak KANUMA Campfield & Spa

栃木県鹿沼市南摩地区のキャンプ施設「Snow Peak KANUMA Campfield & Spa」の紹介です。
関東初のSPAを併設したスノーピーク直営のキャンプフィールドです。

現在、建設中の南摩ダムサイト下流に整備された広いフィールドにはキャンプ場・「snowpeak」のアウトドアグッズの売店・弱アルカリ性の天然温泉・地蕎麦で有名な蕎麦店などがあり家族連れでも楽しめる素晴らしいキャンプフィールドです。

日帰りが出来る施設内にある天然温泉 in KANUMA Campfield & Spa
館内には、内湯と露天風呂・サウナ施設があります。
また、露天風呂にある広々とした外気浴スペースにはキャンプで使う椅子が置かれておりのんびりと温泉を楽しめます。

営業時間  10:00 – 21:00(20:30 最終入浴受付)
定休日  毎週水曜日
料金  大人 ¥700 (税込)
小人(6歳~12歳未満)  ¥350 (税込)
障がい者  ¥350 (税込)
障がい者(小人)  ¥300 (税込)
乳幼児(0~5歳)| 無料
タオルセット(バスタオル/フェイスタオル付)  ¥300 (税込)

「源泉・上南摩温泉」は弱アルカリ性の温泉です。
源泉は弱アルカリ性の温泉で肌を滑らかにする効果があることから、「美肌の湯」と呼ばれています。
泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉(低張性。弱アルカリ性・冷鉱泉)です。
お湯は微褐色澄明、無味、無臭です。
美肌の成分といわれるメタケイ酸も18.5ミリグラム含まれています。
肌に纏わりつくようなすべすべ感、このすべすべ感がなんとも堪りません。

天然温泉 in KANUMA Campfield & Spa

2004 師走(南摩にて)

2004年、師走。
この年も終わろうとする大晦日に雪が降った。
師走に入ってから2度目の雪である。
暖冬といいながらも師走に積もるほどの雪が2度も降るのはここ数年来なかったことである。
何故か例年になく寒い日が続く。

最初に雪が降った日に上南摩を訪れた。いつもの様に南摩川沿いに車を走らせる。
室瀬の里は真っ白な雪が田畑を隠し、周りの山々はうっすらと雪化粧していた。
私は車を止め、カメラを取り出してファインダーを覗いて見た。
降る雪の音だけが微かに聞こえるようでとても静かである。

室瀬から山の狭まったダムサイト予定地を過ぎると、左側に無人の工事現場事務所がある。
その脇にはバス停が立っており、今は鹿沼駅から上南摩行きの路線バスの終点となっている。
この向かい側には一軒の民家があったが撤去され、裏山の木もすべて切られて切り株だけが残る禿山と化している。
200m程行くと粟沢口で、ここにも最近まで民家が4軒あったがすべて撤去されてしまってプレハブ造りのこの地区の公民館だけが残っている。
すこし行くと、以前橋の欄干に”ダム建設絶対反対”と書かれた茅葺屋根をトタンで被せた民家が廃屋となって一軒だけ川沿いに建っている。
村の中ほど下梶又地区の民家もすべてが撤去されて荒野と化し、消防小屋と火の見櫓だけが道脇に残って建っている。
西之入り地区もすべての民家が撤去され、旧梶又小学校の校舎と浅間神社、そしてこの地区の公民館だけが残されている。
ここに来るまで、荒野と化した枯野を貫く曲がりくねった道の脇に並んで立つ電柱が何故か異様に感じてしまう。
山際に祭られていた三日月様の石灯籠と石の祠はいつの間にか無くなっている。
この近くに建っていたログ風の家具工房も暮までにはきれいに撤去されてしまっていた。
かつて上南摩の路線バスの終点があった地区には、小高い丘に立つ数基の墓地と春になると真っ赤なツツジが山の斜面を染める民家がただ一軒だけ残っているだけである。

たぶん新年度になればダム建設用の取り付け道路や工事現場事務所が所々に設けられ、既に決定されてしまった南摩ダムの本体工事が始まるのであろう。
上南摩の禿山の中腹には数箇所目立つように櫓が組まれ、赤と白に上下半分づつ塗られた標識(たぶん、ダムが竣工して満水になった時の位置を記した標識?)がダム工事の遅れを急かしている様に見えてならなかった。

南摩にて2009年8月アーカイブ失踪事件

2009年8月、何時ものように南摩を訪れていた。
南摩ダム周辺の工事は、先月と同じく完成に向けて着々と進行していた。
しかし、今回は思いもよらぬ出来事に出会った。

室瀬で里の様子を撮影していたとき、数台の警察の車両が通過したのを目撃した。
しかし、車両のナンバーがすべて鹿児島ナンバーであったのでちょっと気になっていた。
途中、上南摩を撮影しながら旧梶又小学校を通過したとき、先ほどの警察の車両が校庭に数台駐車していた。
そして数十名の警察官が手に棒を持って道路周辺の藪を掻き分けて何かを探している様であった。
私は、徐行しながら通過していつも行く南摩川の源流地向かった。
そして、帰り掛けに旧梶又小学校から歩いてきた数名の警察官に出会った。
私は、徒ならぬ様子に警察官に「何かあったのですか。」と声をかけて見た。
すると、警察官から意外な事実を知らされた。
それは、最近鹿児島県内で起きた失踪事件関連の捜索をしているとの事であった。
また、この失踪事件の捜索範囲は鹿沼市の北西地域まで及んでいるとの事であった。

その内容は明らかではないが、この上南摩地区はダムの建設のため廃村となり、工事が始まるまでは人の近づき難い荒廃された地域であったからではないだろうか。
いずれにしても、この物騒な事件の早い解決を願っている。

栃木県鹿沼市上南摩で悲しい事件が起きてしまった。
昨年の5月、鹿児島県屋久島で起きた男性の失踪事件である。
その後の調べで、栃木県鹿沼市上南摩の最奥にある旧梶又小学校の古井戸に死体を遺棄した事が判明した。
先日の14日には、鹿児島県警と栃木県警の合同捜索で古井戸の検証が行われ、古井戸の中からトランクに入れられた遺体が発見されたそうである。
振り返ってみれば、昨年の8月ごろ何時ものように上南摩に写真を撮りに来た時、数台の鹿児島県警の車両が上南摩に来ていたのを想い出す。
事件の背景となった旧梶又小学校はこの地区に唯一残された建物で、南摩ダム建設により数年前に廃校になり今年には解体撤去される予定であった。
しかし、新政権のダム見直しにより南摩ダムも存続か中止かの対象になり撤去は延期になったようである。
現在は南摩ダム周辺の付帯工事が行われてダムサイト付近では工事関係者で賑わっているが、小学校迄来ると殆ど人の出入りがなく寂しい所である。
何れ南摩ダムが完成すればダム湖の底に沈んでしまう所、犯行が分からないと思いこの地を選んでしまったのだろうか。
いずれにしても本当に悲しい出来事である。